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2020年9月26日放送分「電子カルテの三原則」

放送日:2020年9月26日(土)

パーソナリティ
一文字 弥太郎さん

アシスタント
岡 佳奈さん

レスコ出演者
代表取締役 藤川 佳應

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電子カルテの三原則
電子カルテとは

デジタル庁もいよいよ創設されますからね。電子カルテもデジタルという事で、もう1回電子カルテとは何か教えてもらっていいですか?

とても簡潔に言いますと紙カルテの電子版という事ですね。

私のかかりつけ医は紙カルテですね。その紙が電子版になると?

パソコンで見たり書いたり、保存できるようになります。

私の行ってるかかりつけ医の話ばかりで申し訳ないですが、受付を済ますとカルテをすごい大きな棚から引っ張り出して、先生の机に持って行きますが、電子カルテだったら?

患者さんのIDを叩くと、画面にその方のカルテが開きます。 棚も必要ないですね。

電子カルテは、いつから出て来たのでしょうか?

1999年に厚生労働省が診療録の電子保存を認めると言う事で通知が出ました。

それまでは認められていなかったのですか。

はい、認められていませんでした。紙でしたね。

今思いつくだけでも、「場所は取らない」「すぐに出てくる」など色々ありますが、電子カルテのメリット・デメリットは何ですか?

まずは医療従事者間での情報共有ですね。 患者さんの診療情報が記載されたものが、今までだと紙カルテなので、その情報を確認しようと思ったら、先ほど一文字さんが言われたようにカルテ庫に取りに行って、開いて、カルテを見ないと分からなかったのですが、電子化されれば、コンピュータさえあれば、すぐに診療情報がリアルタイムで見る事ができるというのが1番大きなメリットですね。

例えば、以前受診した際の「風邪」の情報は、今日受診に来た理由が「めまい」だとしても分かるのですか?

全部、蓄積されてますので、一文字さんのかかりつけ医の先生は去年何の病気で来られたかすぐに確認する事ができるんですね。

それは凄い便利だと思うんですけど、あえてデメリットはあるんですか?

やはり、パソコンを使って入力しなければいけませんから、先生は記録を書かなければいけないので、患者さんから見ると、先生パソコンの画面ばかり見て自分を見てくれていないのではないか?と思われる事はあるかもしれませんし、災害があって電気供給がされなくなった時などに電子カルテが使えなくなる事ではないでしょうか。

でも、明らかにデメリットが少ないような気がするのですが。

一番大きいのは、電子データとして蓄積されれば活用出来るようになりますので、どういう治療したら治療効果が得られたかという事もデータに基づいて分析する事ができますから、より質の高い医療提供していくためには重要な取り組みだと思いますね。

電子カルテの三原則

その「電子カルテの三原則」というのは、どういった事なのでしょうか?

1999年に電子カルテが認められた時に、「ここは守りなさい」と言うルールがあって、それが「三原則」と言われているものですね。
3つありまして「真正性」「見読性」「保存性」この3つのルールを「電子カルテの三原則」と言います。

「真正性」とは何ですか?

これも簡単に言うとですね、誰がいつ書いたのかという事が、第3者が見てすぐに確認できるような状態で保存される事ですね。当然、医療記録というのは公式の書類になりますから、書かれているものが改ざんされたり、誰かの意図によって書き換えや追記、消されてしまったりする事が起きないような対策をとりなさいというのが真正性に関するルールですね。

ちゃんと対策を取ってあるんですか?改ざんとかできないように。

とってあります。
例えば電子カルテを書く人は自分のIDとパスワードじゃないと入れないです。 そこで誰が書くという確認が取られて、いつ何時にその人が何を変えたかというのは電子カルテはすべて記録しています。

「見読性」とは?

電子保存されたものを画面上で開くと肉眼でその記録が診療時にきちんと読む事ができるという状態をどう維持するかですね。

「保存性」と言われれば、将来的に保存する事でしょうか。

カルテは5年間の保存義務がありますから、電子カルテもそうですね。 例えば、一文字さんが風邪で病院に行かれて、完治後から5年間はその風邪をひいたというカルテは保存されなければいけないという決まりになってます。

三原則を守れないと罰則みたいな事もあったりするんですか?

罰則というわけではありませんが、電子カルテはガイドラインによってきちんと縛られてる公的な社会システムですから、そこをクリアしていないといろんな問題、例えば医療事故が起きた時にその記録の真正性が問われたりという事になりますから、基本的にはそのルールに則った製品を使わないと病院さん自体が非常にリスクを抱える事になります。

先日、医療報酬の不正請求事件がありましたけど、こういうのはどうなのですか?

病院の電子カルテともなりますと、先生方の書かれる医師記録だけではなく、看護記録とかリハビリの記録など多岐に渡ります。今回問題が起きたのは手術の記録だったと思いますけど、Aと言う先生が書いた手術記録にBという先生が追記を不正にしてその結果、不正請求に繋がったという事で、電子カルテという巨大なシステムで真正性を完全に担保できてない部分があったという事が今回分かった事ですね。

それは医師のモラルの問題ですよね。

患者さんも多いし、何を書かれるか全てチェックするのは人間ではなかなか難しかったりしますよね。

セキュリティというところをすべてシステムで賄おうとすれば、システムが使いづらくなってくる反面もあるので、なかなか難しいと思います。

電子カルテの未来

政府も電子カルテの普及をしようとしています。今ITの技術もすごい進歩していますが、電子カルテの未来がどうなっていくと思いますか?

まずは、パソコンの前で先生方がカルテを書くという事は無くなるのではないかなという事ですね。
例えば、スマートグラスみたいなものにカルテの情報が写っていて、マイクが付いていて喋った事が記録として書かれる。これは間違いなく実現すると思います。あとは、体温計の情報などいろんなものがbluetoothで飛んでいて、みなさんがご自宅で生活されている間に体の情報がセンサーを通じて、先生方のもとにリアルタイムに届く、そんな電子カルテももちろん出てくると思いますね。

面白いですね。コロナの影響でオンライン診療が広まっていますけど、例えば椅子に座るだけで体温が36.5分とか、先生に届くわけですよね。

どこかにカメラがついていて、「一文字さんちょっと肩が動いていないですよ」とかですね。

でも、そうなるといいですね。

そうですね。当然先ほど申し上げたようにデータが蓄積されますから、それをAIが学習をして先生方に「こういう医療を提供されたらもっと効果があるんじゃないか」という事をアドバイスする事ができます。

ひとり暮らしの方とかすごくいいですよね。

病院の無い地域とかもありますもんね。

もちろんそうなれば、みなさんが自分のカルテの情報を持つ事が出来るようになるかもしれませんね。

そういう事ですか。お薬手帳みたいに、5年間の自分のカルテを持って行くという事ですね。

将来、別の病院に通院した際にスマホで認証すると、他の病院で受けたカルテを別の先生が見る事が出来るようになるかも知れません。
今後、データが行政にも使われるという意味では、カルテに留まらず、真正性が担保されたデータ活用でなければならないですね。
例えば、間違った情報をAIが読んで差別とか偏見が生まれてしまいかねないという事態にもなってしまうので、電子カルテの三原則というのはカルテのみならず大事じゃないかなと思います。